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take_index.gifサポートハウスじょむカウンセラー、高山直子氏へのインタビュー

記者:二木泉(ICU 大学院)
【CGS Newsletter009掲載記事】【ペーパー版と同一の文章を掲載】

Interviewer Izumi NIKI (left) and Ms. Naoko TAKAYAMA (right)
“サポートハウスじょむ(以下じょむ)”は性差別や性暴力などの被害を受けた女性たちが安心して過ごせるスペースを提供しているNPOだ。部屋を自由に利用できるデイケアサービスや各種講座のほか、カウンセリングサービスを提供している。労働問題やセクハラ被害をはじめ、多くの女性たちから様々な相談を受けているカウンセラーの高山直子さんにお話を聞いた。

“カウンセリング”というと日本ではしばしば心理的、精神医学的な治療を目的とする心理療法や精神療法と混同される。それに対し“カウンセリング”という学問体系が確立された米国では、カウンセラーが言語を使い、問題解決にむけて支援することであると広く認知されている。米国でカウンセリングと女性学の修士号を取得した高山さんは、カウンセリングとは相談者の「持っている解決能力を信じて、それを引き出すこと」だと考えている。
「私とクライアントが一緒にいる時間は、1週間で1時間半ほどです。残りの時間は彼女たちが自分の力で過ごしています。その力は私が与えているのではなく、彼女たちがもともと持っている、でも、しばしばそれに気づいていないものです。カウンセリングとは、失っていた能力や自信を、話をすることで気づいたり、取り戻すプロセスなのです。」高山さんはクライアントを「ジャッジ(判断)」しないことを最も意識してカウンセリングをする。「カウンセラーは裁判官ではありません。」相談者の世界を理解するため自分の価値観をひとまず外(ほか)に置いて話を聴くという。「自分の価値観を相談者の世界に持ち込むと葛藤してしまい、クライアントを理解し共感するのが難しくなってしまうのです。」
Ms. Naoko TAKAYAMA
高山さんがより良く相談者を理解したいと思うのには理由がある。高山さん自身が約10年前、1度目の米国留学中に、14ヶ月もの間ストーカー被害にあったのだ。過酷なストレスにさらされ「下痢やアレルギーなど、体がボロボロになった」。後にストーキングを行った犯人は逮捕されたが、皮肉にも多くの人から支援を受ければ受けるほど、結果的にさらに自分を辛い状況に追い込んでいったのだという。
「私の中で勝手に頑張らないといけないと思っていたんです。勉強しながら事件に向き合い続けました。そうしている間にすべてが嫌になってしまったんです。みんな熱心に支援してくれているのに、最後は支援を受けることが一番辛かった。やめたいのに止められない、泣き言もいえない。言ってもよかったのかもしれないけど、私は言えなかったんです。」
その事件で高山さんは、相談する側としてカウンセリングと出会った。その時のカウンセリングでは自分の本当の気持ちを言えずに途中でやめてしまったが、その経験こそが、高山さんに相談者と一緒に困難なプロセスを歩けるカウンセラーになろうと思わせた。女性学を修め日本でしばらく働いた後、再渡米し、カウンセラーとなったのである。
高山さんには女性学やカウンセリングを勉強しただけではなく、自分が経験したからこそ相談者を理解できることがある。それは、「苦しみは簡単には癒えない」ということだ。「私のストーキング事件の加害者は罰せられました。でも私の14ヶ月の苦しみは、それで全部終わりになるということではないんです。加害者に自分の苦しみを与えてやりたいと思いました。」
でも、それが本当の解決にはならないことも、今なら分かる。「私が経験から言えることは、今よりも明日、明日よりも1週間後、1ヵ月後、1年後、10年後、生きていて『今よりも幸せ、サバイブして良かった、楽しい、生きてるってことはこんなに良いことなんだ』と思えたら、それが加害者や事件に対する最大のリベンジだということです。」高山さんにとっては、「今こうやって自分の経験を生かすこと、カウンセラーとして支援される側の立場を理解したアプローチができ、それで1人の人でもここで安心して話をして、あのドアを出るときに少しでも楽になって帰ってくれること」、それが最大のリベンジであるという。
今、矛盾を抱える社会の中で、苦悩する人に伝えたいことがあるという。それは「自分らしくあることとサバイブする(生き延びる)ことが合致しないこともある」ということだ。「生きていて突きつけられる選択肢には、自分の望む生き方と違うことがあります。自分らしくあることと、サバイブすることが一致しないことで苦しい思いをし、葛藤している人たちは少なくありません。その時に直面している問題に対して闘う人もいますし、黙って何も言わない人もいます。でもみんなサバイブしていることには変わりないのです。」
とは言いつつも、後になってその選択を後悔し、自己嫌悪することも経験から痛いほどよく分かる。「何であんな選択をしてしまったんだろうと思ったり、周りから『何であの時こうしなかったの』と言われることで、何で私はこんな風になってしまったんだろうと思ったりするんですよね。」
Ms. Naoko TAKAYAMA
しかし「その時にその人がした選択はベストもしくはベターだったはず」と高山さんはいう。「あなたと全く同じように生きることができる人はいないんです。あなたの人生のエキスパートは、あなたでしかないんです。どんなに頭の良い人でも、どんなに色々な経験をした人でも、あなたの代わりになれる人は一人もいない。だからこそ、あの時のあなたの選択がベストだったと信じられるのです。」
高山さんは、自らが本来持っている判断力で選択するためのツールとして気軽にカウンセリングを利用して欲しいと願っている。
「カウンセラーは、相談に来る人のことを全く知りません。だからこそ見えることがあるし、どれだけ長くかかる歩みであっても付き合っていくことができます。もちろん守秘義務がありますから情報が漏れることはありません。友達や家族に話しにくいこと、些細なことや恋愛の相談など、カウンセラーにとことん話して、頭の中を整理して自分らしい答えを探してみてはいかがでしょうか。」
カウンセリングサービスは予約制(1セッション45分)。一般3,500円・じょむ維持会員と女性ユニオン東京組合員2,000円。

高山 直子 サポートハウスじょむ  カウンセラー

<略歴>
1996年  米国Eastern Michigan University にて女性学修士取得
1996~2000年 女性団体 勤務
2000~2003年 IT企業 勤務
2006年     米国 Wayne State University にてカウンセリング修士取得
2006年11月~ 現職

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