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take_index.gif報告:日本マスコミ学会「バックラッシュはどのように起きるか」ワークショップ

モンタナ州立大学助教授:山口智美

昨年の6月10日、熊本学園大学での日本マスコミュニケーション学会春期研究発表会において、「バックラッシュはどのように起きるかーマスメディアとWeb言説空間の呼応関係」というワークショップを開いた。 パネリストには斉藤正美さん(富山大学)、荻上チキさん(ブロガー)、北田暁大さん(東京大学)と私、そしてゲストとして、今井紀明さん(ライター)も急遽加わっていただいた。パネリストたちは、皆、ブロガーであり、ネットにおける「バックラッシュ」 にも積極的に対抗してきた歴史をもつ。 ここでは、とくに重要な論点2点にしぼって報告したい。報告の詳細などがブログにアップされているので、ぜひご参照されたい。 i

I. バックラッシャー=「若年層の弱者男性」説への疑問
このワークショップの重要なポイントは、よく言われる「バックラッシャー=『弱者男性』論」を検証し、疑念をはさむという方向性が提示されたことだった。荻上さんは、2002年頃から活発化、2005年頃に一応の収束に向かっていったネット上での「バックラッシュ」現象の背景と歴史を振り返り、ネット上での「バックラッシュ」現象は、実はネットコミュニケーションの特質といえる「サイバーカスケード」によって生まれるという構造があると説明。よって、若者やネチズンの右傾化と単純に結びつける認識は誤りであると指摘した。2ちゃんねらーは根本思想的にアンチフェミニストになっているわけではなく、短期的に盛り上がり、瞬間的に批判言説を増大させているだけというわけだ。
1000人あまりのネットユーザー調査をもとにした北田さんの報告は、荻上さんが提示した「若者の保守化」言説への疑問を裏付けるものだった。 2ちゃんねらー=反フェミニズムという図式は必ずしも成り立たず、ネット利用時間の長さと右傾化の度合いも関係はないという。イラク人質事件の後に強烈なバッシングを受けた今井さんは、自身にあてられた批判の手紙やメールの主に対し、 電話での直接対話を試みたところ、多くが政治的に動いているというより、むしろ遊びながら、愉快犯的に書いている印象だったという。ii  このように、「弱者男性=バックラッシャー」という決めつけは明確に否定され、なぜバックラッシュという現象が起きているのかを分析し、具体的な対応をとる必要性も確認された。
ネットというメディアで建設的な議論が本当にできるのか、という今井さんからの問題提起に対しては、荻上さんはサイバーカスケードの方向性を変えたり、起こりづらい環境をつくることは可能であり、インターネットの使い方によって状況は変わると主張した。例えば、荻上さんの「ジェンダーフリーとは」サイトがその一例であり、カスケードにブレーキをかけるような別の情報を提示する試みだったという。iii

II. ウェブ時代におけるフェミニズムのプレゼンス能力の低下
「フェミニズムのプレゼンス能力の低下」も、大きなテーマだった。荻上さんは、Web2.0どころか、実際は「フェミニズム0.5」といったような状態であると指摘。また、会場からもフェミニズムがダサい、つまらないというイメージがより広がってしまっているのではないか、フェミニズムは「正しいものは広がる」といった思い込みで押し通すのではなく、もっと一般の人たちに考えを広めるような、マーケティング的なやり方をとりいれるべきという意見も出た。
私の報告では、フェミニズム運動史が共有されていないこと、また、フェミニズムがウェブ、とくにインタラクティブなブログなどのメディアを使いこなせておらず、ネット上にそもそもフェミニストがほとんど存在していないという2点を指摘した 。 「ジェンダー」というわかりにくい言葉の是非にばかり議論が集中してしまっている現状、そして何のためにフェミニズムがあるのか、という目標設定が損なわれているのではないかという根本的な問題にまで議論は及んだ。
その後も、ネットでは、macskaさんによる、バックラッシュに対抗するフェミニスト団体のネット発信に関するブログエントリに端を発した議論も続いた。 iv ここ最近、バックラッシュの動きがまた顕在化してきている中、ネットのバックラッシュをめぐるこういった議論を共有し、よりすすめていく必要があるのではないか。

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i 荻上チキさん http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20070611/p1
 http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20070623/p1
 今井紀明さん http://blog.livedoor.jp/noriaki_20045/archives/51094428.html
 斉藤正美さん http://d.hatena.ne.jp/discour/20070611
 山口智美 http://diary.jp.aol.com/mywny3frv/436.html
 http://d.hatena.ne.jp/yamtom/20070704
ii 詳細については、今井さんのシカゴ大学での講演”Why I Went to Iraq – Three Year Later” http://chiasmos.uchicago.edu/events/imai.shtmlや、Japan Focus掲載の”Why I Went to Iraq. Reflections of a Japanese Hostage”も参照。
http://japanfocus.org/products/details/2620
iii http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/genderfreeQandA.html
iv http://macska.org/article/190  http://macska.org/article/203

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